美術館で休息する

6月に入ってから、二つの展覧会を訪れたのでその感想を少し。

ひとつめは新宿駅近くにあるSOMPO美術館で開催されている「シダネルとマルタン展」。シダネルとマルタンは日本ではあまり取り上げられたことのない画家らしく、私も今回展覧会のチラシでその名前を初めて聞いた。

SOMPO美術館に訪れるのも今回が初めて。平日の昼間だったからということもあるだろうけれど、とても静かで落ち着いた雰囲気の綺麗な美術館だったなあ。

 

シダネルとマルタンについては、予備知識も何もないまま会場で初めて彼らの作品と対面したのだけど…正直ここまで心が震えた展覧会は久しぶりだったように思う。

「最後の印象派」といわれた二人の最初期の作品は光に満ちていて、みていると、涼やかで気持ちよい風を感じるような心地がした。あたたかい陽の光、柔らかい微風、草を踏み分けて歩く感触。彼らが生きた時代の美しさが眼前に現れるかのようで、大きく深呼吸したくなる。ひとつの曇りもない、牧歌的な美しさに触れて、なんだか涙まで込み上げてきた。こんなことは初めて。ここ最近精神的に余裕のない生活をしていたからかな。ずっとずっとみていたい、なんならこの絵の中に飛び込んで、そこで暮らしたいと思ってしまうほど素敵でした。

晩年の作品もとても魅力的。彼らがそれぞれ愛した土地に家を持ち、そこで創作した作品の数々。とくに印象的だったのは、彼らによって描かれる花々の美しさ。鮮やかさの中に柔らかさも含んでいて、人物が描かれない作品でも、どこかひとのぬくもりを感じるやさしさを帯びている。

シダネルが愛した村、ジェルブロワはフランスの美しい村にも選ばれているそう。バラが咲き乱れる村なんて、きっと綺麗なんだろうなあ。いつか行ってみたいと思った。

 

 

ふたつめは、リニューアルオープンしたばかりの国立西洋美術館で開催されている「自然と人のダイアローグ」。国立西洋美術館を訪れたのはロンドンナショナルギャラリー展が行われていた2020年秋以来。作品数がかなりたっぷりで、本当に見ごたえのある展覧会だった。

ドイツロマン派の画家の作品が見られるのは珍しいことだそうで(知人の美術通談)、そこらへんも楽しみにして行ったのだけれど、どれも素敵だったなあ。絵画だけでなく写真も展示されていて、新鮮だったし「写真もいいなあ…」と思いながら鑑賞していました。